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  • ABOUT

  • ワーグナー・プロジェクトとは?

    「ワーグナー・プロジェクト」は、演劇ユニット・Port B(主宰・高山明)によるHIP HOPの学校です。現在まで、KAAT神奈川県立芸術劇場(2017)、フランクフルト・ムーゾントゥルム劇場(2019)、大分駅前・祝祭の広場(2021)、金沢21世紀美術館(2022)と“上演”を重ねてきました。

    Port Bとは?

    2002年東京にて結成。高山明を中心にプロジェクトごとに形を変えて作られる演劇ユニット。実際の都市を使ったインスタレーション、ツアー・パフォーマンス、社会実験的プロジェクト、言論イベント、観光ツアーなど、多岐にわたる活動を展開。いずれの活動においても「演劇とは何か」という問いが根底にあり、演劇の可能性を拡張し、社会に接続する方法を追求しています。http://portb.net/

    なぜ、演劇ユニットが”ヒップヒップの学校”を展開するのか?

    DJ、ラップ、ブレイクダンス、グラフィティと、音楽、言葉、身体、イメージと4つの要素からなるヒップホップはストリートから生まれた総合芸術であり、『演劇的視点から見て、「街頭のオペラ」と呼ばれるヒップホップは巨大な可能性の塊である』( 高山明・著『テアトロン:社会と演劇をつなぐもの』河出書房新社)という着眼点から本プロジェクトが発案されました。

    ワーグナーとは誰?

    リヒャルト・ワーグナー(1813-1883)はドイツの作曲家・指揮者のみならず、19世紀とそれ以降のヨーロッパと世界の文化に広く大きな影響を与えた楽劇(オペラ)の創始者であり“楽劇王”と称され、近代演劇を完成させた人物です。巨大なオペラを“祝祭”という形で上演しようとし、自らオペラ専用のバイロイト祝祭劇場を建設、集中と没入によるその演劇における壮大な祝祭のモデルは、後年ナチスのプロパガンダにまで利用されました。

    なぜ、ワーグナー x ヒップホップ?

    “楽劇王”リヒャルト・ワーグナーの代表的な楽劇のひとつに、『ニュルンベルクのマイスタージンガー』という作品があります。マイスタージンガー (Meistersinger)とは「親方、名人(Meister)」と「歌手(Singer)」からなる言葉で、職人や弟子たちが詩と歌の腕を磨き合いました。「ワーグナー・プロジェクト」は、ワーグナーがニュルンベルクという町を舞台に描いた、町人たちによる「歌合戦」を現代版に翻案する試みであり、都市の中の「多様な声」を可視化すると同時に、新たな“都市の祝祭”の可能性を投げかけます。

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  • 『ワーグナー・プロジェクト』とは?

     

    『ワーグナー・プロジェクト』とは、現実の都市空間でツアー・パフォーマンスなどのプロジェクトを展開してきた高山明/Port Bが、芸術や都市の祝祭を更新しようとした歌劇王リヒャルト・ワーグナーによる歌合戦オペラ「ニュルンベルグのマイスタージンガー」の”上演”を試みるプロジェクトです。“ファシズム的な集中と求心の手法を確立した総合芸術家”と捉えられているワーグナーですが、ストリートを舞台にした「ニュルンベルクのマイスタージンガー」では、親方歌手=マスター・シンガーたちによる歌合戦が繰り広げられ、⺠衆による新たな歌や芸術が生まれる過程が描かれています。『ワーグナー・プロジェクト』では、⺠衆芸術として描かれた “歌合戦”を、現実のストリートで繰り広げられているラップに接続し、歌・芸術・祝祭とは何かを、<ヒップホップの学校>を通して問い直します。これまでに本プロジェクトを開催した横浜・フランクフルト・金沢では、各都市にて第一線で活躍するラッパー・ダンサー・DJを講師として迎え、レクチャー、グラフィティ、ダンスバトル、サイファー、ワークショップ、ライブ、などが同時多発的に展開されました。

  • ワーグナー・プロジェクトとは?

    高山明

     ワーグナー・プロジェクトとは、第一にワーグナーのオペラ『ニュルンベルクのマイスタージンガー』の「上演」です。上演を「」かっこで括ったのはいわゆる一般的な上演とは異なるからで、ここでオペラが再現されることはありません。むしろ上演という概念を拡張することを試みています。具体的には、ニュルンベルクの街頭で繰り広げられる歌合戦のオペラを、「ストリートのオペラ」と言われるヒップホップに接続し、「ヒップホップの学校」をつくりました。現在ストリートでバトルしているのはラッパーやダンサーやグラフィティのライターたちではないかというのが最初の思いつきでした。さらに、靴職人の修行と重ね合わせながら詩や歌や芸術を学んでいくオペラが『ニュルンベルクのマイスタージンガー』なのだから、リアルに「ヒップホップの学校」をつくって学びのプロセス全体を「上演」とするのもありだろうと。決められたことを一定のクオリティで再現するのが上演と思われがちですが、今ここで生成変化するものに賭けてみようというのが、ワーグナー・プロジェクトが問いかける新しい上演の形です。

     

     また、ワーグナーが提唱した「総合芸術(Gesamt Kunstwerk)」を最も面白いかたちで継承しているのは、DJ、MC(ラップ)、ブレイクダンス、グラフィティという四要素からなるヒップホップではないかと思います。そこでは音楽、言葉、身体、イメージが扱われています。ワーグナーもまた、音楽、言葉、身体、イメージといった要素をすべて取り込もうと考えましたが、それらを舞台上に統合することを目指し、観客はその世界に集中し、没入し、同化すべきとされました。その実現のためにワーグナーは自分のオペラだけを上演する劇場(バイロイト祝祭劇場)を建設してしまったほどです。ところがもう一つの「ストリートのオペラ」であるヒップホップは、四つの要素を統合しようとはせず、一つ一つが独立したままで成立します。そうした繋がりの緩さ、散漫な楽しさ、遊びを伴うバラバラさに、ファシズムに結びつくワーグナーを、さらには統合や集中を無条件によしとする近代的態度を、軽々と乗り越える可能性を私は見ます。

     

    そうした考えのもと、これまで横浜、フランクフルト、大分という三都市でワーグナー・プロジェクトを上演してきました。それらの記録映像を中心としたアーカイブが金沢21世紀美術館の会場でご覧いただけます。これは上演というより展示になりますが、18時以降は連日「学校」をオープンします。そこで生起することこそ金沢での上演になると考えています。その意味で、ワーグナー・プロジェクトは「上演」であると同時に「学校」です。これがプロジェクトの第二の性格になります。

     

    ワーグナー・プロジェクトは学校の「見立て」なのですが、本当の学校という側面もあります。というのも、第一線で活躍するヒップホップの先輩たちが集い、講師としてその知識や技術を共有してくれるからです。具体的には、レクチャー、ワークショップ、トーク、ライブなどを催し、参加者を巻き込みながらMCバトルやダンスバトルを開催します。この機会にヒップホップを学びたい人、スキルを磨きたい人、歌をつくりたい人、ダンスをはじめたい人、仲間が欲しい人・・・などなど、ぜひ気軽に遊びにいらしてください。はじめは「ゲスト」かもしれませんが、そのうち「ホスト」する側になり、場を回していってもらえたらこんなにうれしいことはありません。ワーグナー・プロジェクトは鑑賞するだけでなく、自分が参加し、創造していくことのできる場でもあるからです。

     

     この点はワーグナー・プロジェクトの未来に関係する大事なところです。教育現場の崩壊が言われて久しいですが、ワーグナー・プロジェクトには学校のオルタナティブとして機能しうるかという問いかけがあり、いずれはそうした「学校」になることを目指しています。近代の発明である学校もまた、ワーグナーが発明した集中と同化の装置(=劇場/演劇)としての特徴を持っています。教壇があり、そこには教師がいて、生徒は黙って椅子に座り、授業に集中しなければならない。そうした訓練の場が学校であり、そこで近代的な時間を生き、戦争を戦い、資本主義社会で競争していくための身体と精神がつくられてきました。現代の学校の多くがその延長線上にあることは、時間割や定期テストや建築的特徴を見ただけでも明らかでしょう。そうした学校に適応できなくて不良になったり、不登校になったりする人たちがいかに多いことか。それは「不」という否定的な接頭語をつけられた生徒の側だけに歪みとして現れているわけではありません。教員の側も表には出しづらい悩みを抱えざるをえない状況ではないかと思います。

     

    私が注目したいのはヒップホップが本来的に持っている学びの可能性です。それは1970年代のニューヨークではじまったとされています。都市計画の失敗で荒廃したサウスブロンクスで子供達がはじめた遊びが、DJ、MC(ラップ)、ブレイクダンス、グラフィティになっていきました。この辺りの歴史はワーグナー・プロジェクトの音楽監督である荏開津広さんが講義してくれるのでぜひ聞いてほしいのですが、それは持たざる者たちがありものを持ち寄り、遊びのなかで発明した音楽、詩、舞踊、絵でした。そこに教師はおらず、教室もなかった。友達同士で遊びながら、遊戯の技法を開発しあい、身振りを真似しあったものが、数十年後には世界を変えてしまうほどの文化に育ったのです。しかも遊戯の道具は、値段が高く先生が必要な楽器ではなく、ラジカセやターンテーブルや言葉や身体やスプレー缶といった「器械」たちでした。それらは身近にある「楽器」でした。その遊戯はあらゆる都市の子供たちに伝播し(彼らの多くは街や学校で居心地の悪い思いをしていた子や、移民や難民という出自のマイノリティが多かったに違いありません)、ヒップホップの技法や身振りを真似し、学び、身につけ、国籍や宗教や民族や階級や人種といったアイデンティティによる分断を超えてヒップホップというレイヤーでつながっていきました。ニューヨーク、ベルリン、ベイルート、サンパウロ、ソウル、マニラ、金沢・・・等々、世界中の都市で、出会うことのなかった人たちを(子供も大人も)ヒップホップの身振りが結びつけてきたのです。だからこそ世界中に広がり、革新的な文化になりえたのではないでしょうか。私たちはそこにある学びの可能性に賭けたいと思っています。ワーグナー・プロジェクトの向かう先は、来るべき「学校なき学校」なのです。

  • CREDIT

     

    ワーグナー・プロジェクト大分2023

     

    コンセプト 高山明

     

    プログラム・ディレクション 荏開津広、ナリトライダー

     

    TEACHERS 相原 フランシスコ 良和、ELIONE、伊藤雄介、荏開津広、KYOHEI2 、ケンチンミン、snipe1、ダースレイダー、ナリトライダー、渡辺志保(五十音順)

     

    特別指導 HUNGER、ポチョムキン

     

    RAPPERS FROM OITA CITY

    woll fool、CLIEVY、Sadame、Champagneman 、SHIN 、zero、乃婆 、RYUKI ほか(五十音順)

     

    音楽監督 荏開津広

     

    コーディネーション ナリトライダー

     

    空間デザイン 小林恵吾/K2LAB

     

    グラフィティ snipe1

     

    SKATERS FROM OITA CITY Aihara Francisco Yoshikazu, Imi Toshirou, Hamano Yuji Abe Kouhei, Matsuyama Koutarou

     

    DJ the HELL、AZUL、FREEDOM

     

    演出助手 田中沙季

     

    グラフィックデザイン 阿部航太

     

    舞台監督 田原保志(T.C.D.office LLC)

     

    空間デザインチーム Owen Law、堀尾理沙、佐藤礼、松永貴志、平岩理子

     

    撮影チーム 和田信太郎、佐藤未来、阿部航太、平栗圭、是永悠之介、鈴木創大

     

    音響・映像 三重野彰、芳山敏明(IMAYOSHI KISETU)、木下直郁

     

    制作 戸田史子

     

    FOOD chaka chaka、田崎洋酒店、シダーセント、カキたろう

     

    協力 東京藝術大学大学院映像研究科、早稲田大学大学院創造理工学研究科建築学専攻小林恵吾研究室

     

    企画・製作 PortB、Port 都市リサーチセンター

     

    主催 大分市

     

  • プロフィール

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    総合ディレクション

    高山 明

    1969年生まれ。2002年、演劇ユニットPort B(ポルト・ビー)を結成。実際の都市を使ったインスタレーション、ツアー・パフォーマンス、社会実験プロジェクトなど、現実の都市や社会に介入する活動を世界各地で展開している。近年では、美術、観光、文学、建築、都市リサーチといった異分野とのコラボレーションに活動の領域を拡げ、演劇的発想・思考によって様々なジャンルでの可能性の開拓に取り組んでいる。東京藝術大学大学院映像研究科教授。

    http://www.portb.net/

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    空間構成

    小林恵吾

    1978年東京生まれ。2002年早稲田大学理工学部建築学科卒業。2005年ハーバード大学大学院デザイン学部修士課程修了後、2012年までOMA/AMOロッテルダム事務所に勤務。代表レム・コールハースと共に主に北アフリカや中東地域のプロジェクトを多数担当。その後、早稲田大学理工学研究科建築学専攻助教を経て2016年より同大学准教授。設計事務所NoRA共同主宰。主な作品に「Gordon Matta-Clark展会場計画」、「House+O」などのほか、高山明/PortBによる複数のプロジェクトにて空間デザインを行なっている。

  • ワーグナー・プロジェクト@横浜

    KAAT 神奈川芸術劇場(2017年)

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  • ワーグナー・プロジェクト@フランクフルト

    Künstlerhaus Mousonturm, Frankfurt am Main(2019年)

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  • ワーグナー・プロジェクト@大分

    大分市 祝祭の広場(2020年)

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問い合わせ【Port B】MAIL: wagner.project.portb@gmail.com

【大分市】大分市都市計画部まちなみ企画課 TEL:097-585-6004 (MAIL: matikikaku@city.oita.oita.jp)

 

© 2023 Akira Takayama and Port B / Wagner Project

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